中途採用KPIの決め方|採用できない原因を数字で見つける方法

「求人を出しているのに、なかなか採用できない」
「応募数を増やすべきなのか、面接を見直すべきなのか分からない」
中途採用がうまくいかないとき、「もっと応募を集めよう」と考える企業は少なくありません。
しかし、採用できない原因が応募数にあるとは限りません。
応募は十分に集まっているものの書類選考でほとんど落としているケースもあれば、面接までは進むものの内定承諾につながっていないケースもあります。
そこで役立つのが、採用活動を数字で確認する「採用KPI」です。
採用KPIを設定すると、単に「採用できなかった」で終わらず、応募・書類選考・面接・内定・承諾のどこに課題があるのかを整理しやすくなります。
この記事では、採用専任者がいない中小企業でも取り組めるように、まず確認したい5つの中途採用KPIと、数字を改善策へつなげる方法を解説します。
この記事で分かること
- 採用KPIとは何か
- 中小企業が最初に見るべき5つの数字
- 採用KPIの計算方法
- 数字から採用課題を見つける方法
- 採用目標から必要な応募数を逆算する方法
- KPIを改善するときの注意点
採用KPIとは?「採用できない」を分解するための数字
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、目標達成までの進捗を確認するための指標です。
中途採用の場合、最終的な目的は「必要な人材を採用すること」ですが、結果だけを見ても原因は分かりません。
たとえば、3か月間採用活動をして採用人数が0人だったとします。
この結果だけでは、次に何を改善すべきか判断できません。
一方で、採用プロセスを分解すると状況が見えやすくなります。
- 求人を見ても応募されていない
- 応募はあるが求める経験を持つ人が少ない
- 書類は通るが面接で不合格が多い
- 面接では高評価だが内定辞退される
- 候補者はいるが社内判断に時間がかかっている
それぞれ必要な改善策は異なります。
採用KPIは、こうした違いを数字から判断するために使います。
中小企業がまず確認したい5つの採用KPI

採用管理ツールを見ると、多数の指標を設定できる場合があります。
しかし、採用専任者がいない中小企業が最初から細かい数字を追いすぎると、集計すること自体が仕事になってしまいます。
まずは次の5つから始めると、採用活動の流れを把握しやすくなります。
| KPI | 見る内容 | 数字が悪い場合に確認すること |
|---|---|---|
| 応募数 | 候補者との接点を作れているか | 採用チャネル、求人内容、条件、ターゲット |
| 書類通過率 | 求める層から応募が来ているか | 採用要件、必須条件、求人とターゲットのズレ |
| 面接通過率 | 面接で求める人材を見極められているか | 評価基準、書類選考、面接質問 |
| 内定承諾率 | 内定者に入社を選んでもらえているか | 条件、役割説明、自社の魅力、選考体験 |
| 採用リードタイム | 応募から採用までに時間がかかりすぎていないか | 日程調整、社内承認、評価共有、意思決定 |
これだけでも、「応募が少ないのか」「対象外の応募が多いのか」「面接後に離脱しているのか」をかなり切り分けられます。
採用KPIの基本的な計算方法
通過率は、基本的に「次の工程へ進んだ人数 ÷ 前の工程の人数」で計算します。
書類通過率
書類通過者数 ÷ 応募者数 × 100
応募40人に対して書類通過者が20人なら、書類通過率は50%です。
面接通過率
次の選考へ進んだ人数 ÷ 面接実施人数 × 100
一次面接を20人実施し、10人が次の選考へ進んだ場合は50%となります。
内定承諾率
内定承諾者数 ÷ 内定者数 × 100
4人へ内定を出し、2人が承諾した場合は50%です。
採用リードタイム
応募受付から内定承諾、または入社までの日数を確認します。
数字だけを出すのではなく、「書類選考に何日」「一次面接調整に何日」「最終承認に何日」と工程ごとに分けると、待ち時間を見つけやすくなります。
選考期間の改善については、中途採用の選考スピードを改善する7つの方法も参考にしてください。
採用KPIは「平均値」より自社の数字を見る
採用KPIを調べると、「書類通過率は何%が適切か」「内定承諾率は何%なら良いのか」といった目安が気になるかもしれません。
ただし、採用する職種、経験レベル、地域、給与、採用チャネルなどによって数字は大きく変わります。
そのため、他社の数字だけを基準に良し悪しを判断するのはおすすめできません。
まずは自社の過去3か月や6か月の数字を出し、どこで候補者が減っているのかを確認します。
さらに求人媒体、人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど複数の採用チャネルを使っている場合は、チャネルごとに数字を分けてください。
全体では応募数が多くても、実際には特定のチャネルからしか採用につながっていないこともあります。
数字から採用課題を見つける5つのパターン

パターン1.応募数そのものが少ない
応募数が少ない場合、面接方法を改善しても候補者は増えません。
まず確認したいのは、採用チャネルと求人内容です。
- ターゲットが利用している採用チャネルか
- 仕事内容が具体的に書かれているか
- 任せる役割や期待する成果が分かるか
- 必須条件を増やしすぎていないか
- 自社で働く魅力を候補者目線で説明できているか
求人媒体で待っているだけでは接点を作りにくい管理職・専門職であれば、人材紹介など別の採用方法を検討する余地もあります。
パターン2.応募は多いのに書類通過率が低い
この場合、「応募が足りない」と考えて広告費を増やす前に、応募者と採用要件のズレを確認します。
たとえば、求人票では「営業経験者歓迎」と書いているのに、社内では「法人向けSaaS営業を5年以上経験している人しか採用しない」と考えている場合があります。
求人票と社内の評価基準が一致していなければ、対象外の応募が増えます。
また、採用要件そのものが必要以上に厳しくなっていないかも確認します。
採用ターゲットの整理については、採用ペルソナの作り方もあわせて確認してください。
パターン3.書類は通るのに面接通過率が低い
書類段階では良いと判断しているにもかかわらず、面接で多くの候補者が不合格になる場合があります。
この場合は、書類選考と面接で見ているポイントが違っていないか確認します。
人事は経験年数を見て通過させている一方、現場責任者は業務改善経験を必須と考えている、といったケースです。
面接官同士で評価項目を事前に共有し、候補者ごとに評価基準が変わらないようにします。
面接設計については、即戦力人材を見抜く面接質問と評価のポイントも参考にしてください。
パターン4.内定は出せるのに承諾されない
内定承諾率が低い場合は、候補者の能力を見極める工程より、「候補者から自社が選ばれる工程」に課題がある可能性があります。
給与だけでなく、次の点を確認します。
- 入社後の役割を具体的に説明できているか
- どこまでの裁量を持てるか伝えているか
- 候補者の転職理由に合う提案ができているか
- 面接中に疑問や不安を解消できているか
- 選考結果の連絡が遅くなっていないか
内定を出した後だけでなく、面接段階から候補者との認識をそろえることが重要です。
パターン5.各通過率は悪くないのに採用まで時間がかかる
応募、書類、面接、内定の数字に大きな問題がなくても、採用まで数か月かかっているケースがあります。
この場合は、採用リードタイムを工程別に確認します。
候補者を評価する時間ではなく、
- 書類を見るまでの待ち時間
- 面接官の日程調整
- 評価結果の回収
- 社長・役員の承認
- 条件決定
などで止まっていないかを確認してください。
採用人数から必要な応募数を逆算する

採用KPIは、結果を振り返るだけでなく、採用計画を作るときにも使えます。
たとえば、過去の採用実績が次のような会社があるとします。
| 工程 | 人数例 |
|---|---|
| 応募 | 40人 |
| 書類通過 | 20人 |
| 面接通過 | 8人 |
| 内定 | 4人 |
| 内定承諾 | 2人 |
これは業界平均ではなく、計算方法を説明するための例です。
この会社では40人の応募から2人採用できています。
同程度の歩留まりを前提に次回3人採用したいのであれば、単純計算では約60人の応募が必要になります。
ここで「60人も集めるのは難しい」と分かれば、応募数だけを増やすのではなく、書類選考や面接、内定承諾のどこを改善できるか検討します。
つまり採用KPIは、「何人集めるか」だけではなく、「どの数字を変えれば目標に近づくか」を考えるためのものです。
月1回、1枚の採用KPI表で振り返れば十分
採用専任者がいない企業では、毎日のように細かく分析する必要はありません。
まずは月1回、次のような項目を1枚にまとめるだけでも十分です。
| 項目 | 目標 | 実績 | 課題 | 次にやること |
|---|---|---|---|---|
| 応募数 | ○人 | ○人 | 例:経験者の応募が少ない | 例:採用チャネルを見直す |
| 書類通過率 | ○% | ○% | 例:対象外応募が多い | 例:求人要件を修正 |
| 面接通過率 | ○% | ○% | 例:評価が面接官で違う | 例:評価項目を統一 |
| 内定承諾率 | ○% | ○% | 例:内定辞退が続く | 例:役割説明を改善 |
大切なのは、数字を記録することではなく、数字から次の行動を1つ決めることです。
採用KPIを見るときの3つの注意点
1.通過率を上げること自体を目的にしない
たとえば書類通過率を上げたいからといって、基準を下げれば数字は簡単に改善します。
しかし、面接で大量に不合格になれば意味がありません。
KPIは採用成功のための手段であり、数字を良く見せることが目的ではありません。
2.少ない母数だけで判断しない
応募者が3人しかいない状態で通過率を比較しても、一人の結果で数字が大きく変わります。
採用数が少ない企業では、1か月だけで判断せず、数か月分をまとめて確認する方法もあります。
3.職種や採用チャネルを混ぜすぎない
営業職とエンジニア職では、候補者数も選考方法も異なります。
求人媒体と人材紹介でも候補者との接点の作り方が違います。
可能であれば、「営業職×求人媒体」「管理職×人材紹介」など、ある程度分けて数字を確認してください。
数字を見ても改善できない場合は「母集団形成」から見直す
KPIを確認した結果、「面接や内定承諾には大きな問題がないが、そもそも求める人材との接点が少ない」と分かることがあります。
特に管理職、役員候補、専門職など対象者が限られるポジションでは、求人媒体への掲載だけでは十分な母集団を作れないこともあります。
この場合、求人内容を何度も修正するだけではなく、採用チャネルそのものを見直す必要があります。
採用要件を整理したうえで、それでも候補者と出会えない場合は、人材紹介サービスを活用して企業側から対象人材との接点を広げることも選択肢の一つです。
即戦力採用の基本的な考え方については、即戦力採用を成功させる3つの条件も参考にしてください。
まとめ|採用できない原因を「感覚」ではなく数字で確認する
中途採用がうまくいかないと、「応募をもっと増やそう」「求人広告を変えよう」とすぐに施策を追加してしまいがちです。
しかし、原因が別の工程にあれば、応募を増やしても採用人数は増えません。
まずは、応募数、書類通過率、面接通過率、内定承諾率、採用リードタイムの5つを確認してください。
そして、最も詰まっている工程を1つ選び、改善策を実行します。
採用KPIは、複雑な分析をするためのものではありません。
「今どこに問題があるのか」「次に何を変えるのか」を経営者・人事・現場で共通認識にするための道具として活用することが重要です。
即戦力人材の採用をご検討中の企業様へ
採用課題が「母集団形成」にあるなら、採用チャネルの見直しも選択肢です
採用要件や選考フローを整えても、管理職や専門職など対象となる人材との接点自体を作れないケースがあります。
「即戦力サーチ」では、企業の事業内容や採用課題、求める人物像をヒアリングしたうえで、即戦力候補者をご提案しています。候補者の紹介だけでなく、面談日程の調整、面接方法のアドバイス、条件交渉、入社・定着までを見据えた支援を行っています。